アスファルトシングルには塗装は不要？注目の屋根材を大解剖

１アスファルトシングル屋根の特徴

アスファルトシングルとは

アスファルトシングルは、繊維状のガラス基材にアスファルトを染み込ませ、表面を石粒でコーティングした屋根材です。

北米では100年以上の歴史を持ち、非常に多くの家で使われています。

アスファルトシングルはカッターやハサミで簡単に加工でき、扱いやすいため、自宅をDIYで修理する文化に合っているのでしょう。

一方で日本でのシェアは５パーセント程度。

スレートや金属屋根の人気に押されて、まだあまり普及していません。

ただし、安い、耐震性が高い、デザインが豊富などメリットも多いことからこれからシェアを伸ばしていくでしょう。

アスファルトシングルのメリット、デメリット

↑田島ルーフィング株式会社　アスファルトシングルカタログより　https://tajima.jp/koubai_yane/

曲面など複雑な構造の屋根にも対応可能です。

アスファルトシングルの屋根は他の屋根材ではできない柔らかな雰囲気が魅力です。

曲面にも貼れるので、屋根の形にこだわりたい方にもおすすめします。

軽量なので建物への負担も少なく、コストも低め。

瓦やガルバリウムの屋根に比べると寿命は短いですが、新築でもリフォームでもメリットの多い屋根材だと言えるでしょう。

注意すべきは、施工に慣れている業者が少ないため、技術によっては剥がれやすくなってしまうこと。

日本は台風も多く、強風にさらされる可能性も高いので実績ある業者に依頼しましょう。

また、構造上どうしても表面の砂粒が剥がれてくる点もデメリットです。

放置していると雨樋が詰まってしまうこともありますので、定期的にチェック・清掃を行いましょう。

２アスファルトシングルと塗装工事

塗装は必ずしも必要ではない

屋根は強い紫外線と風雨にさらされるため、どうしても時間が経つと色褪せてきます。

最初に工事をした時のような見た目を保つには塗装工事が必要です。

アスファルトシングルの場合、表面の石粒を塗料で多少固定することもできます。

砂が落ちてくるのが気になる方は塗装を検討してもいいでしょう。

ただし、塗装自体に機能を回復させるような効果はありません。

高機能塗料もありますが、塗膜は非常に薄いので期待しすぎない方がいいでしょう。

アスファルトシングルはもともと防水性の高い屋根材ですし、塗装は何年かごとに絶対必要なメンテナンスではありません。

★塗装をするなら……

塗装工事をする際は水性・艶なし塗料を選択しましょう！

見積もりをとった時にも塗料の種類を確認しておくのがおすすめです。

・油性塗料を使うとどうなる？

油性塗料を塗ってしまうと、塗料の溶剤にアスファルトの成分が溶け出し、にじんだようになってしまいます（ブリード現象）。

表面がべたつき、屋根材の歪みや膨れの原因にもなりますので必ず水性塗料（アスファルトにも使える塗料）を選んでください。

・艶あり塗料を使うとどうなる？

通常の屋根塗装では耐久性を考えて艶あり塗料を使うことも多いのですが、アスファルトシングルには向きません。

構造上塗料の吸い込みが激しく、艶の出方にムラが出てきれいな仕上がりにならないのです。

★見積額は異常に安くないか？

どの工事にも共通することですが、できるだけ見積もりは複数社から取り、金額や内容を比較しましょう。

アスファルトシングルは塗料を吸いこみやすいため、同じ面積を塗る場合でも他の屋根材と比べて塗料の消費量が多くなります。

相場と比べて明らかに安い場合、塗料を薄めていたり、重ね塗りの工程を省いていたりする可能性があります。

３アスファルトシングル屋根の修理

アスファルトシングルの寿命は15~20年程度（※）と言われており、10年強経過したらチェック・メンテナンスをするのがおすすめです。

アスファルトシングルに起きやすい劣化の症状は以下の通りです。

・端の剥がれ、膨れ

・亀裂、破れ

・強風によるめくれ

・一部脱落

※改良が進んでいるので製品によっては20~30年程度の耐久性があります。

★一部補修

台風などの強風でめくれたり外れたりしている場合は、一部のみの張り替えが可能です。

１平方メートルあたりの費用は4000円〜ですが足場が必要になると足場代が加算されます。

ちなみに、台風等自然災害によって屋根が破損した場合は火災保険の補償対象になることが多いです。

元の状態よりきれいにするようなリフォームはできませんが、一部補修のように被害を回復させる時は保険金を受け取れる可能性が高いので、保険会社に連絡してみましょう。

★カバー工法

「屋根全体の砂粒が剥がれていて塗装工事では見た目の改善が難しい」「全体に痛みがあるけれどまだ深刻な状態になっていない」……こんなケースではカバー工法が有効です。

金属屋根などより軽い屋根材を上から重ねるか、同じアスファルトシングルをかぶせるか、どちらでも工事できます。

アスファルトシングルの上にアスファルトシングルを重ねる（かぶせ工法）では、１平方メートルあたり6000円〜が相場になります。

一般的な屋根の面積は80~100平方メートルで、足場代は20万円程度になることが多いので、総額は70万円〜でしょう。

金属屋根にする際は50~150万円で収まることが多いです。

★葺き替え

屋根材が寿命を迎え、下地までダメージがある場合は全体の葺き替えが必要です。

葺き替え工事では既存の屋根を下地まで全部取り除くので、カバー工法と比べると撤去費用と撤去した屋根材を処分する処分費用がプラスになります。

一般的な住宅では大体70〜200万円程度が相場です。

ちなみに、葺き替え工事では自由な屋根材を選択できると思われる方が多いですが、建物本体の想定を超える重さの屋根を取り付けることはできません。

例えば軽いアスファルトシングル屋根を想定した建物に重い瓦屋根を葺くのは危険です。

４まとめ

アスファルトシングルは耐震性、防水性、デザイン性に優れた屋根材です。

普及率が低いために実績ある業者探しが難しい、メンテナンスが必要などデメリットもありますが、総合的に考えると新築にもリフォームにもおすすめします。

機能維持のためのメンテナンスは塗装より一部補修が有効です。

塗装は見た目の工場や砂粒の固定のためのものだと考えたほうがいいでしょう。

ダメージがひどい時はカバー工法や葺き替えなど全面改修を行いましょう。

屋根工事を検討している方は、できるだけ複数社から見積もりを取るのがおすすめです。

相見積もりを行うと必要な工事がはっきりしますし、工事費用が適切か、接客スタイルが自分に合っているかなど、調べているだけではわからない点を確認することができます。

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