雨漏り修理はDIY?自分で修理をする方法と業者に依頼してできること
台風の後から天井にシミができるようになった、気づくと窓枠が濡れている……お家に雨漏りのサインは出ていませんか?
雨漏りは家屋の腐食やシロアリなどの害虫・カビの発生の原因になる厄介なもの。放置していると確実に家を蝕み、寿命を縮めていきます。
しかし、おうちの補修は意外に高額。
雨漏りを直したいけれど、金額的に不安でなかなか踏み切れないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
また、できることならDIYで安く補修して解決したいという方もいらっしゃるかと思います。
本記事では雨漏りの修理をしたい方に向けて、①DIYしても良い雨漏りと業者に依頼するべき雨漏りの違い、②DIY補修の方法、③できるだけ費用を抑えつつ優良業者を探す方法をご紹介します。
1DIYできる雨漏りとできない雨漏り
ご自宅の雨漏りの原因は特定できていますか?
雨漏りの原因となりやすいのは屋根・雨樋・窓・外壁・ベランダの5つです。
発生場所と劣化部位によってDIYで修理できるかどうかが異なります。
DIYできる雨漏りとできない雨漏りを整理すると以下のようになります。
【DIYできる】
・窓まわりのコーキング(目地)の劣化、隙間
・外壁のコーキング劣化やごく小さなクラック(割れ目)
・雨樋のつまり
※屋根のダメージ(緊急時のみ、推奨しません)
【DIYできない/業者に依頼した方がいい】
・屋根の劣化
・外壁の大きなクラック(割れ目)
・ベランダの劣化やクラック
基本的にDIYできるのは小さな亀裂や明らかな目地材の劣化、雨樋のつまりなどシンプルな補修です。
屋根の修理は高さもあり大変危険ですので、ご自分での修理は避けましょう。
実際に、屋根から転落して死亡する事故も多く発生しています。
プロでも重傷を負ったり、死亡したりすることのある作業ですので、屋根に登るのは避けてください。
また、屋根の補修は間違った施工をすると雨漏りの悪化を招いてしまうかもしれません。
例えば、瓦やスレートが割れて雨水が浸入している場合、DIY修理を行うと間違って雨の通り道をふさいでしまうことがあります。
瓦屋根は瓦と瓦の重なり部分から雨水を逃す構造になっているので修理すべきでない部分をコーキングすると雨漏りが悪化してしまうのです。
結果的に解体範囲が広がり、業者に頼むより高くなってしまうケースもありますので、屋根の修理は専門家に依頼しましょう。
外壁の明らかなひび割れやベランダの防水処理も修理に高度な技術が必要です。
失敗するとご自宅の構造にダメージを与えてしまうこともありますので専門業者に補修してもらいましょう。
2雨漏りは自分で直せるの?DIYでできること
では、DIYで補修できる雨漏りに該当したらどのように作業すればいいのでしょうか。
本章では応急処置的なDIYとして、①外壁や窓周りのコーキング ②ブルーシートのかけ方 をご紹介します。
2-1 防水テープ・コーキング
コーキング(またはシーリング)とは、外壁や窓の隙間から水漏れするのを防ぐために目地材を充填する作業のこと。
目地が詰まった部分のこともコーキングと言い、上の写真のグレーの部分に該当します。
コーキングは経年劣化で割れたり縮んだりするため、隙間ができてしまうと雨漏りの原因になります。
根本的な解決のために全てを直すのは難しいですが、防水テープやコーキング材の増打ちで応急処置をすることは可能です。
●防水テープ
とりあえずの応急処置ならホームセンターで購入できる防水テープがおすすめです。
雨水の流れと逆になるように、下流から侵入してくる入口に向かってぴったり密着させるように貼りましょう。
汚れや水分が残っていると剥がれてしまうことが多いので、事前に周囲を掃除してから作業するのがポイントです。
●コーキング
業者を手配するまでに時間がかかる、どうしても費用が用意できないなどの理由がある場合、応急処置的にDIYでコーキングをする方法もあります。
本来は既存のコーキングを剥がして充填し直すのですが、DIYで完全に修理するのは非常に難しいため、ここでは既存のものを活かした増打ちと呼ばれる方法をご紹介します。
【用意するもの】
マスキングテープ、コーキング用プライマー(下地のようなもの)、コーキングガン、コーキング材、ヘラの5つ。
【手順】
- ①コーキングしたい部分の清掃
汚れや水分があると十分に密着せずすぐに剥がれてしまうので慎重に!
②マスキングテープで周囲の保護
仕上がりの直線を決めるので丁寧に!
③プライマー塗布
プライマーを忘れると剥がれやすくなります。忘れずに購入しましょう。
④コーキング材充填
均一に充填するのは難しいので、一度練習しておくのがおすすめです。
⑤ヘラでならす
表面がボコボコにならないよう仕上がりを意識してならします。
⑥マスキングテープ除去
剥がす際に周辺の壁についてしまわないように注意!仕上がったら1週間は触らずに乾燥させます。
隙間なくきれいにコーキングするのは想像以上に難しいもの。事前に使い方を確認して、慌てず作業を進めましょう!
2-2 ブルーシート
根からの雨漏りに便利なのがブルーシート。
2019年の台風15号被害の際、ブルーシートで覆われた家の映像を見た方も多いかと思います。
破損した部分にブルーシートをかけ、土のうで重しをすることで、簡易的にお家を雨水から保護することができるのです。
ただし屋根に登るのは死亡事故が発生するくらい危険な作業。
自分でやらないのがベストですが、どうしてもという場合は最低限以下の点に注意してください。
●ブルーシートの厚さ
ブルーシートには重さを示す#3000や#2000などの番号が振られています。
これは標準的なサイズあたりの重さ(g)をあらわしていて、数字が大きいほど重い=厚みがあり、耐久性が高いということになります。
汚れがつかないことだけを目的にするなら薄く軽い方が便利なのですが、屋根の応急処置に使うのであれば耐水性、撥水性が必要!
必ず#3000以上の丈夫なものを買いましょう。
薄いと破けてしまったり水を通してしまったりするのでしっかり確認しておくのが大切です。
●作業の人数・服装
屋根の上での作業は非常に危険!
必ず2人以上(できれば3人以上)で安全に注意して行いましょう。
はしごを押さえる、危険物は撤去する、適宜休憩する等当たり前のことを一つずつ注意しながら進めるのが大切です。
服装は長袖長ズボンヘルメット着用で、靴は必ず滑りにくいものを履いてください。瓦屋根は滑りやすく割れやすいので特に注意が必要です。
また、傾斜があるため雨上がり等水分が残っている場合は思った以上に滑りやすくなります。必ず乾いている状態で作業をするようにしましょう。
●事前に作業内容を確認しておく
作業内容を把握していないと何度も上り下りすることになり危険です。最低限の回数で済ませられるよう、必要な準備・作業を確認しておきましょう。
ただし、何度も書いている通り大変危険な作業です。
ブルーシートでの応急処置は業者に依頼することができるので基本的にはプロの手を借りましょう。
屋根コネクトではお近くの業者をご紹介しております。見積もり無料、お断り代行可能ですので、自分で作業をする前にぜひご連絡ください。
2-3 DIYのリスク
自分で安く修理できるのが魅力のDIYですが、リスクもあります。
何よりも怪我したり、失敗する可能性があること!
特に屋根の修理は高所での作業ということもあり、難易度が高いです。
落下の危険だけでなく、移動するときに足の踏み場が悪く瓦を割ってしまったり、雨の逃げ道としてわざと開けてある隙間を誤って埋めてしまって雨漏りが悪化したりと「修理するつもりが壊してしまった!」ということも……。
最近は便利なアイテムも多いですが、あくまで自分でできるのは応急処置と割り切って、本格的な修理は業者に依頼するのがおすすめです。
3業者に頼んだらどうなる?雨漏り診断と修理の流れ
では、プロに依頼すると何が違うのでしょうか。
雨漏りの場合、原因を突き止めて根本から直すのが重要です。雨漏りに特化した業者なら、雨漏り診断といって様々な調査を行ってくれます。
また自分では対処できない屋根の破損についても、瓦一枚の交換から全体葺き替えまで状態に応じて必要な処置が可能です。
本章では業者に依頼した場合にできることと、修理の種類をご紹介します。
3-1 何よりも原因究明!プロの雨漏り診断
はじめにも書いたとおり雨漏りは何よりも原因究明が大切!
水の侵入経路を特定するために業者では大きく分けて5つの調査を行うことができます。
修理しても繰り返す雨漏りや、原因が複数あると思われる場合、原因に心当たりがない場合はしっかりと調べてもらいましょう。
●目視
調査の基本は目視。プロの目で流入経路を確認します。
屋根に登って劣化状況を調査したり、構造上弱い部分をチェックしたり……自分ではなかなか見られない部分を確認してもらいましょう。最近はドローンを使って調査を行う場合もあります。
調査費用は最も安く、無料〜5万円程度であることが多いです。
●散水調査
その名の通り、水を撒いて雨漏りの状況を再現する調査方法です。
ご自宅の水道から水を引いて、順に水をかけていくことで雨漏りの原因箇所を特定します。
一見簡単なようですが、雨漏りは雨風の向きや強さにも影響されるので技術力が必要な方法です。
調査費用は足場設置の有無にもよりますが5〜10万程度です。
●発光液調査
紫外線に反応する特殊な液体を流すことで流入経路を特定する方法です。
機材を使うため調査費用は高額になる傾向があり、15〜20万程度になることが多いです。
●サーモグラフィー調査
表面温度を測定する機械を使い、水が漏れて温度が低くなっている場所を特定する調査です。
雨漏りが発生して濡れている状態でないと確実な調査になりませんが、目に見えない原因を把握するには効果的です。
費用は最も高額でおおよそ20万円〜です。
3-2 修理の種類
原因が判明したら次はいよいよ修理。
壁や窓のコーキング劣化が原因であればコーキング部分の打ち直しをお願いすれば良いのですが、屋根の場合は複雑……。
ここでは部分補修と全体補修に大別し、プロに依頼した場合にできる修理の種類をご説明します。
(1)部分補修
瓦屋根の修理とその他工事に分けて整理すると、以下のようになります。
※高所での工事については別途足場代が必要です。
足場代は1平方メートルあたり700~1000円程度かかります。
一般的な住宅では全体で15〜20万円くらいと考えるとわかりやすいでしょう。
①瓦屋根
●瓦のヒビ・割れ
瓦が割れた場合、その部分だけを差し替えることで対応できます。
業者によっては1枚から相談可能で、瓦の差し替えだけなら比較的安価に済むでしょう。
相場は1枚あたり1〜3万円ほどです。
ごく軽度のヒビの場合はコーキングのみでもカバーできます。
一箇所あたり2000円から、複数作業して6万円程度かかることがあります。
●漆喰の補修
瓦屋根の頂点部分、瓦と瓦を接着し、雨の侵入を防いでいるのが漆喰です。
瓦は非常に寿命が長い建材ですが、漆喰は10年程度で劣化すると言われており、定期的なメンテナンスが必要です。
漆喰にひびが入って割れたり、穴が空いてしまうと屋根の上から大量に水が侵入してしまい雨漏りの原因になります。
軽度であれば古い漆喰を撤去し詰め直す作業、重度であれば棟瓦を一旦取り外し、棟を取り直す作業を行います。
相場は漆喰工事が15~30万円、棟の取り直しが50~150万円です。
※屋根の形状や棟の長さによりかなり差が出ます。
②その他の屋根・板金工事・雨樋補修
●屋根材の一部交換
スレート屋根やトタン屋根も瓦屋根同様一部交換が可能です。
スレートは1箇所あたり1~2万円程度、トタン屋根は1平方メートルあたり4000円程度が相場です。
●板金修理
屋根の角部分は板金によって保護されています。
頂上を抑える板金を棟板金と言い、雨漏りを防ぐ機能を持っていますが、強風の影響により釘が緩んで浮き上がったり、外れて飛んで行ってしまったりすることがあります。
隙間ができると頂上から大量の雨水が浸入して雨漏りを招きますので、状況に応じて釘の打ち直しや取り替え等の補修を行います。
釘打ちのみなら15000円〜3万円程度、交換の場合は1メートルあたり5000円〜が相場です。
●雨樋補修
雨樋が壊れると雨水が大量に溢れ出し、雨漏りの原因になります。
取り替えるパーツ、修理する長さによって費用は変わってきますが、部分交換であれば総額7~10万円程度、全体交換は20~40万円程度になることが多いです。
(2)全体修理
金属屋根の腐食がひどい、スレート屋根が劣化している等、屋根全体にダメージが及んでいる場合、葺き替えも含めて検討する必要があります。
費用は高額ですが、根本的な解決をしたい場合にはおすすめです。
●カバー工法
既存の屋根の上から新しい屋根材を重ね葺きする方法です。
古い屋根の撤去が必要なく、工期も短いため費用が安いのが特徴で、二重構造になるため断熱性と遮音性の向上も見込めます。
ただし、屋根全体の重量が増すため耐震性の低い建物には施工できないことがあります。また、瓦屋根など一部の屋根には適用できません。
費用目安は広さと屋根材により大きく差が出ますが、80~120万円程度かかることが多いです。
●葺き替え
下地含め、屋根全体を取り替える方法です。
大規模な工事になるためカバー工法より高額になりますが、重度の雨漏りで屋根全体にダメージが及んでいる場合は葺き替えがおすすめです。
また、屋根材によっては頻繁にメンテナンスが必要なため、葺き替えてしまったほうが安くなる場合もあります。
費用目安は100~200万円程度です。
一部修理、全体修理ともに状況によってかなり費用が変わってくるため、予算感を掴みたい場合は見積もり依頼をしてみましょう。
3-3 気になるお金のこと……保険は使えるの?
修理をすると決めたらやっぱり気になるのがお金のこと。屋根修理には火災保険が使える、と聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。
結論から言うと、台風など自然災害から始まった雨漏りであれば保険が下りる可能性があります。
多くの火災保険は「風災」を補償対象としているため、強風による瓦の破損、棟板金の浮きについては火災保険でカバーできるでしょう。
台風の後から急に雨漏りが始まったのであれば特に火災保険を活用できる可能性が高いです。
一方で、経年劣化については補償の対象外になっています。
塗装や板金の劣化による錆・穴とそれに伴う雨漏りについては火災保険を使うことができません。
初期不良・リフォームにより引き起こされた不具合についても災害ではないため補償範囲外となります。(ただし新築から10年以内に雨漏りが発生した場合は、売り主に瑕疵担保責任があるため無償で修理を受けることができます。)
また、火災保険はあくまで「修理」にしか使えないため、リフォームのような「もとの機能以上に回復させる」工事には適用されません。
条件は多いものの、雨漏りの原因が自然災害だったというケースも少なくありません。
火災保険を使って修理をしたい場合は「台風シーズンの前に!火災保険でお得に屋根を修理する方法と注意点」もご参照ください。
4悪徳業者に騙されない。安心して修理を依頼するには
屋根修理は高額になりやすいだけに、詐欺まがいの悪徳業者も報告されています。
特に多いのが「近くを工事していて屋根の不具合に気づいた」と訪問してくるケース。
「雨漏りで大変なことになる」と不安を煽ったり、「保険でタダになる」と甘いことを言ったりして強引に契約を迫ります。
屋根修理は品質が第一! 高価なだけで中身のない工事をすることにならないよう、業者の質をしっかり見極めることが重要です。
安心して雨漏りを修理するためには、ぜひ相見積もりをしましょう。
相見積もりとは複数の業者から見積をとること。
比較検討することで見積もりの内容や金額が適正であるか、気持ちよく依頼できる業者であるか見極めることができます。
相見積もりは費用の節約にもつながりますので、お得に修理を進めたい方にもおすすめです。
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