雨、風、塩、寒さにも負けない！石州瓦の魅力

日本三大瓦の1つ石州瓦（せきしゅうがわら）。

島根県中西部、石見地方で生産されている瓦です。高温で焼き上げているので硬く耐寒性に優れています。

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雨や風だけじゃなく塩害や酸性雨にも負けない石州瓦

瓦の基本性能で最も重要といえる防水性能。建築物の最大の敵でもある雨からいかに建築物を守るかで、どれだけ長持ちするかが決まります。

石州瓦は、屋根そのものの防水性能を高めるために逆水防波堤となる｢水返し防波堤｣を施すことで、雨水が下に流れやすくしています。また雨水は、屋根材と屋根材の間から進入するだけではなく、屋根材そのものに染み込み下地を濡らしてしまいます。石州瓦は水を通しにくくなっていますので、屋根の雨漏りが起こりにくいとされています。

それに加え、屋根の耐久性が良ければ、丈夫で寿命が長い住まいを造ることができます。

耐久性とは雨風に強いだけではなく、温度や湿気の変化にも強く、色あせや色落ちが少ないこととされています。それだけではなく、近年では塩害や酸性雨に強いことも耐久性を高めるとされています。石州瓦は、これらの耐久性を高めることで、屋根だけではなく家の寿命も延ばすことができるようになります。

石州瓦は城下町の発展にも一役買っていた

今では日本三大瓦の1つとして西日本を中心に大きく発展した石州瓦。

その始まりは飛鳥時代の石見国分寺の建立に始まったとされています。江戸時代初期には浜田城築城と城下町建設に造られました。

江戸時代中期には、雲州地方の来待石（きまちいし）から採れる釉薬を使い石州瓦独特の赤瓦が誕生しました。赤瓦が注目を浴び、山陰だけではなく舟で北陸・北海道にも運ばれていきました。

昔は、天候に振り回されて造られていました。

昭和20年台までは、瓦は天候に左右されながら、人の手によって造られていました。

硬い原土に矢を打ち、鍬で掘り起こした土を山積みにして約3ヶ月間乾燥させた後、水を加えながら練るといった｢じょれん｣を行い、人の足でさらに練ります。

よく練られた土で｢タタラ｣を作り、そこにセギを打ち込んで定規を載せて手縄で切ります。そこから瓦の原型にしていき、再び乾燥させます。

その後、切り請けと呼ばれる瓦の成形を行い棚に入れて、さらに乾燥させた後に来待石で出来た釉薬を掛けていき、ようやく登り窯に入れ焼成していきます。

現在では、ほぼ自動コントロールされた生産プラントによって造りだされている石州瓦ですが、昔は、これだけの手間暇を掛けて造られていました。

来待石は独占したくなるほど魅力的な石

来待石が採掘される宍道町来待地区は、宍道湖に面しており、湖や山といった自然の恵みを受けてきました。

来待石の歴史は古く、古墳時代の石棺に使われ、中世石塔や石仏、石州瓦の上薬、建材、灯ろう、石臼、かまど、棟石、墓石などに使用されています。

江戸時代の松江藩主は来待石を気に入り、御止石（おとめいし）として藩外に持ち出しを禁じたほどでした。

来待石が使われている出雲石灯籠は、奈良・平安時代から造られるようになり、江戸時代になって最も盛んになりました。

当初は御影石で造られていた出雲石灯籠ですが、来待石の方が耐寒性・耐熱性に優れ風化にも耐えることができ、現に300年も前の徳川幕府初期の年代の作品も発掘されています。

また、価格も他の石材に比べ安価、粒子が緻密で気品が高いなどといった理由から、来待石が多く使われるようになりました。

来待石の用途で最も有名なのは、やはり石州瓦の釉薬だと思います。来待石の釉薬を掛けられた石州瓦は、焼かれると独特の赤色をもった瓦になります。ただ赤いだけではなく、寒さや凍てに強いので、日本海側では、今でも赤い屋根が広がる町並みを見ることができます。