伝統的で美しい淡路瓦

名前のとおり、淡路島で誕生した淡路瓦（あわじ がわら）。

400年前に誕生したこの瓦は、時の流れを経て親から子、子から孫、その次へと受け継がれ、今ではその瓦の種類は数千にも及びます。

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築城のために造られた瓦が、伝統工芸的地場産業へ

江戸時代初期、姫路城藩主池田輝政の三男、池田忠雄が淡路島を所領し、成山城築城をする際に播州瓦の名工、清水理兵衛を呼び寄せ、瓦を焼かせたことが始まりとされています。

淡路島は良質な土に恵まれ、さくい土と粘い土を調合し、何度も捏ね上げることで原料土に仕上げてきました。需要がある大阪・京都・神戸などに船で大量輸送ができたことで、淡路瓦は、淡路島の伝統工芸的地場産業として発達することができました。

淡路瓦は焼き方によって表情が変わる

淡路瓦には色々な種類がありますが、その中で代表的なのが、いぶし瓦・陶器瓦・窯変瓦の３種類です。

いぶし瓦は、釉薬を使わず、焼成の際に空気を完全遮断し、いぶすことによって表面に炭素膜を形成することで独特の色を出しています。

陶器瓦は釉薬を掛けて焼き上げており、色彩が豊富で変色がないのが特徴です。

釉薬を使うことなく、いぶすこともせず、炎の加減だけで焼き色を調整するという淡路瓦独特の製法で造られるのが窯変（ようへん）瓦です。いぶすことなく釉薬も使われていないので、瓦独特の味わいがあります。

また、淡路瓦は屋根に使用される以外にも、景観材として敷瓦・小端立て用瓦・ブリックといった様々な用途に使用されています。

鬼が家を守るようになった理由とは？

特注瓦として造られているのが｢鬼瓦｣です。瓦造りに適している淡路島の原土は鬼瓦造りにも適した土とされています。

しかし、｢鬼師｣と呼ばれる鬼瓦専門に造っている人は、全国的に減少傾向にあるとされています。

そもそも鬼瓦とは何かご存じでしょうか？

昔から日本の屋根の棟端は、神聖な霊所として崇められてきました。その場所に神の姿を｢人間と違う｣という概念でとらえた鬼が、家内安全・無病息災・そういった願いを託されて鬼瓦という形で置かれているのです。鬼瓦以外にも鯱（しゃち）や鴟（しび）なども設置されていますが、どれも意味があり人々の祈りが込められています。

鬼瓦が広く使用されるようになったのは奈良時代で、それ以降さまざまな鬼瓦が誕生し、時代によって様々な変化をみせるようになりました。浄土宗の地獄の観念もあってか室町時代には、社寺や城郭といった屋根の芸術へと確立しました。

江戸時代に入ると、江戸の大火が起こったことで幕府が瓦葺屋根を奨励したことや瓦工西村半兵衛による庶民にも手が出る安価な瓦を開発したことで、庶民にも鬼瓦が普及するようになりました。

現在でも全て手造りで鬼瓦が造られている所もありますが、鬼瓦も機械で造っている所もあります。しかし、細かい部分の細工は、時代を経た今でも人の手が行っています。

淡路瓦と同じ粘土を使って、自分だけの表札を造ってみませんか？

瓦として見るだけだった淡路瓦も、近年では我々の身近なものに変化し販売されるようになりました。お香立てやペーパーウェイト、箸置きやランプシェイドなどが、いぶし瓦で造られているので、お部屋のちょっとしたアクセントにもなります。

また、オーダーメイドで表札や置物などを鬼師に依頼できる所もあるそうなので、｢人と違うものを｣とお考えの方は、淡路瓦も参考にしてみてはいかがでしょうか。