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瓦屋根の修理と葺き替えリフォームの方法・費用を解説


瓦屋根のメンテナンスやリフォームにはどういった方法があるのでしょうか?

瓦屋根は非常に頑丈で耐久性が高い屋根材として知られていますが、他所からの飛来物による破損や、瓦の下の防水シートの交換など、定期的にチェックしてメンテナンスを行わなければならない部分もいくつかあります。

今回は瓦屋根のメンテナンスやリフォームの方法や時期、費用についてご紹介します。

瓦屋根のメンテナンス方法は?


瓦屋根のメンテナンスには、大きくわけて「部分修理」か「全体修理」かの2つがあります。

1-1 部分修理

部分修理には、瓦の交換、漆喰(しっくい)の交換、棟瓦の積み直し、釘の打ち直しなどの工事があります。


台風で瓦が割れてしまったときの修理や、日ごろのメンテナンスとしてとても大切な工事です。

大きな修理と異なり費用も最小限に抑えられるのがポイントです。


①瓦の交換

瓦は1枚から交換が可能です。

丈夫な瓦とは言え、他所からの飛来物が衝突するなど強い衝撃を受けると割れてしまうことがあるため、ひび割れや割れなどが見つかったら早い段階で交換しましょう。


②漆喰(しっくい)の補修

漆喰とは、屋根のてっぺんにある棟の部分の瓦の土台として塗り込まれている白い材料のことです。

漆喰は経年劣化によって崩れなどが目立つようになるため、劣化しきってしまう前に補修工事を行う必要があります。

崩れた漆喰が屋根の上に複数落ちているというような場合には劣化が進んでいる証拠ですので、早い段階で工事を検討しましょう。


③棟瓦の積み直し

棟瓦とは、屋根のてっぺんの棟部分に積まれている瓦のことです。

土台となる漆喰の劣化などの要因によって棟瓦全体が歪んで見えたり、ひどい場合には台風などで一部が崩れてしまったりすることがあり、こうなってしまうと全体を積み直す必要があります。

1-2 全体修理

全体修理には、葺き直し工事、葺き替え工事、塗装などの方法があります。


①葺き直し(ふきなおし)工事

葺き直し工事は、瓦を一度取り除き、瓦の下にある防水シートや下地を補修する工事のことです。

補修後は、もともと使用している瓦を再び設置します。

瓦はとても耐久性が高いため、瓦よりも下地や防水シートなどの方が先に耐用年数を迎えてしまうことも少なくありません。

瓦をすべて新しくするのはもったいないけれど、防水シートの機能などはしっかりと回復させたいという場合には有効な工事です。


②葺き替え(ふきかえ)工事

葺き替え工事とは、瓦と防水シートなどを丸ごと新しくする工事です。

葺き直し工事と名前は似ていますが別の工事で、葺き替え工事では瓦の再利用はせず、すべて新しいものに取り換えます。


新しい瓦の購入に費用がかかりますが、家のイメージを一新することができ、選ぶ瓦の種類によっては軽量化されたものや、よりデザイン性、機能性に優れたものなどにすることも可能です。

瓦自体が古くなってしまった場合などには有効な工事です。


③塗装

塗装工事は、瓦屋根の中でも「セメント瓦」や「モニエル瓦」と言われる種類で行われる工事です。

一般的に多く目にする「陶器瓦」は、もともと製造過程で表面に釉薬と言われる塗料が塗られているためさらに塗装を行う必要はありません。

しかしセメント瓦などは表面の塗膜が時間と共に劣化し、撥水性などが落ちてくるため、再塗装のメンテナンスが必要になります。

陶器瓦 セメント瓦 モニエル瓦
陶器瓦 セメント瓦 モニエル瓦

④ラバーロック工法

施工される頻度は低いですが「ラバーロック工法」という工事もあります。

瓦同士をコーキング処理で繋ぎ、強度を高める工事で、強風などによる瓦のズレや落下を防ぐために有効な方法です。

瓦屋根の場合カバー工法がしにくい上に、葺き替えや葺き直しなどの費用が高額になることも多いため、比較的安価な修理方法として人気があります。

ただし、瓦の再利用ができなくなる、将来的な屋根修理の費用が高額になる、間違った方法で行うと湿気がたまり下地が痛むなどのデメリットもあるため注意が必要です。

瓦屋根修理のタイミングについて


2-1 注意すべき劣化の症状とは

瓦屋根でよくあるトラブルとしては以下のようなものがあります。屋根に登ることは危険ですので、目視でわかる範囲で屋根の状態を時々チェックしてみましょう。

①瓦のヒビ割れ ②瓦のズレ ③漆喰の剥がれ
①瓦のヒビ割れ ②瓦のズレ ③漆喰の剥がれ
④釘の浮き ⑤棟瓦のズレや歪み ⑥全体の色あせやコケの発生
④釘の浮き ⑤棟瓦のズレや歪み ⑥全体の色あせやコケの発生

①瓦のヒビ割れ

他所からの飛来物や、雪の重みなどが原因で起こります。

Point

・基本的には瓦の交換だけで済むので費用も比較的安く済みます

・割れた箇所から雨漏りなどが始まっている場合には小さな修理で済まないこともあります


②瓦のズレ

他所からの飛来物、強風、地震などによって起こります。

Point

・一部のズレであれば部分修理で直せることが多いです

・全体の経年劣化がひどい場合、ズレの場所から雨漏りなどが始まっている場合には、小さな修理で済まないこともあります。


③漆喰の剥がれ

経年劣化や、雨などによって起こります。

Point

・崩れた漆喰を取り除き、内部の傷みを確認して漆喰を塗り直す作業が必要です。

・傷みが広範囲の場合にはやや修理に費用がかかることもあります。

・屋根を支える部分なので早めの対策が必要です。

④釘の浮き

経年劣化や地震などによって、瓦を固定している釘が浮いてしまうことがあります。

Point

・浮いている本数や、屋根全体の劣化度合いによって修理費用が異なります

・台風時の瓦のズレや落下につながるので早めに対策したほうがいいです

①瓦のヒビ割れ

他所からの飛来物や、雪の重みなどが原因で起こります。

Point

・浮いている本数や、屋根全体の劣化度合いによって修理費用が異なります

・台風時の瓦のズレや落下につながるので早めに対策したほうがいいです

⑤棟瓦のズレや歪み

漆喰の劣化や、地震などによって棟瓦がズレや歪みがおこります。

Point

・棟全体を積みなおす工事が必要です。

・屋根全体を支える大切な部分なので、放っておくと災害時に大きな被害につながることもあり、注意が必要です。

⑥全体の色あせやコケの発生

瓦や塗膜の経年劣化によって起こります。

Point

・瓦自体が古く不具合も多い場合は、葺き替え工事を検討した方がいいでしょう。

・セメント瓦など塗装を行うタイプの瓦なら、劣化の状態によっては洗浄と塗装で済むこともあります。

2-2 瓦屋根の耐用年数はどのくらい?

瓦屋根には、最も多く普及している陶器瓦の他に、セメント瓦、いぶし瓦などの種類があり、耐用年数がそれぞれ異なります。

セメント瓦は陶器瓦に比べると耐用年数が短めなので注意が必要です。

概ね以下の年数を超えたら、瓦の状態をみて葺き替え工事を検討しても良いでしょう。

屋根材の種類 単価
陶器瓦(釉薬瓦) 40~60年
いぶし瓦 30~60年
素焼き瓦(無釉瓦) 30~50年
窯変瓦(無釉瓦) 30~50年
セメント瓦 20~40年

瓦屋根の種類がわからない方はこちらの記事で詳しくご紹介しておりますので、併せてご確認ください

瓦屋根の種類と形を総まとめ!それぞれの特徴や施工のポイントについて

2-3 工事計画の例

実際のメンテナンス計画としては、建築からの年数なども加味して考えていくことが大切です。

以下は工事計画の一例です。


●建築から10年 ・・・瓦の一部を交換、漆喰の補修

●建築から15年 ・・・棟瓦の積み直し

●建築から20年 ・・・瓦の一部を交換

●建築から30年 ・・・葺き直し工事

●建築から40年 ・・・瓦の一部を交換

●建築から50年 ・・・葺き替え工事

※陶器瓦(耐用年数50年)の場合


瓦の交換、漆喰の補修などの部分補修は5~10年に1度、15年を超えて棟瓦の歪みなどが見られたら詰み直し、20年を超えたら補修をしつつ葺き直し工事か葺き替え工事を検討する、というのが大まかな目安です。

上記以外にも大きな台風の後などは一度屋根の様子を確認し、何か不具合があればその都度修理するようにしましょう。


また、セメント瓦の場合には10~15年に1度程度、塗装の工事が必要になります。


環境や屋根の状態によっても異なりますので、日ごろから屋根の状態をよく確認して、必要なタイミングを見逃さないようにしましょう。

瓦屋根工事の費用相場は?


ここからは、工事にかかる費用の目安をご紹介します。

実際は施工する屋根の面積などによって大きく異なるため、ここでは一般的な30~40坪程度の戸建て住宅を想定してご説明します。

まず、工事ごとの大まかな費用相場と耐用年数は以下の通りです。

工事内容 費用相場 工期
瓦の交換 1~5万円程度/1枚(※) 1~3日
漆喰の補修 5~10万円(※) 1~3日
棟瓦の積み直し 20~40万円 2~5日
葺き直し 120~180万円 7~10日
葺き替え工事 150~250万円 7~10日
塗装(セメント瓦などの場合) 60万~100万 10~14日
ラバーロック工法 20~40万円 5~7日

※破損が広範囲に及ぶなど、修理の度合いによって足場が必要になる場合は、足場代がプラス15~20万円程かかります。

3-1 部分修理(瓦の交換、漆喰の補修など)の費用

部分修理の費用は足場の有無によって20万程度の違いがあります。瓦数枚の交換で足場が要らない場合には1~5万円程度、足場が必要な工事であれば30万円程度かかります。

施工内容 単価
漆喰補修 3,000~6,000円 /1㎡
瓦交換 1~5万円程度/1枚(※)
棟瓦の積み直し 12,000~15,000円/1m
足場 500~1,500 /1㎡
管理費、諸経費 工事費用の 5~10%

3-2 全体修理(葺き替え、葺き直し、塗装など)の費用

葺き替え工事の費用相場は150~250万円程度、葺き直し工事の費用相場は120~180万円です。

全体修理では屋根の面積や形状などによっても大きく費用が異なります。

葺き替え工事の場合には新しい瓦を購入することになるので、瓦の種類やグレードに応じて工事価格も異なります。

葺き直し工事では既存の瓦の処分費用と新しい瓦の購入費用が掛からないので、その分費用が安くなります。


<全体修理の費用詳細>

項目 単価
既存屋根材の撤去 1,500~2,500円 /1㎡
既存屋根材の処理(葺き直しでは不要) 1,500~2,500円 /1㎡(撤去費用に 含めることも)
新しい屋根材(葺き直しでは不要) 5,000~15,000円 /1㎡
下地の補修 1,500~2,500円 /1㎡
防水シート 500~800円/1㎡
足場 500~1,500円/1㎡
管理費、諸経費 工事費用の 5~10%

※金属屋根なら5,000円~7,000円程度、軽量瓦や他の瓦なら9,000円~15,000円程度です。


●葺き替え工事をする場合の屋根材の単価

葺き替え工事をする場合、新しい屋根材にはもう一度瓦を選ぶ場合もあれば、他のガルバリウム鋼板などを選ぶ場合もあるでしょう。

屋根材には様々な種類があり費用もそれぞれ異なります。

よく使用される屋根材の大まかな単価と耐用年数は以下の通りです。

項目 単価 耐用年数
陶器瓦 5,500~15,000円/㎡ 40~60年
軽量瓦・防災瓦 7,000~12,000円 30~60年
スレート(コロニアル) 4,000~7,000円/1㎡ 15~30年
ガルバリウム鋼板 5,000~7,500円/1㎡ 20~30年
エスジーエル鋼板 5,500~7,000円 30~40年
アスファルトシングル 5,000〜9,000円 15~25年

上記以外にも屋根材にはいくつか種類があります。特徴など詳しくは以下の記事でも紹介しています。

【全12種類】屋根材の種類を比較!最もコストパフォーマンスが高い屋根材はどれ?

瓦屋根は自力で修理できる?

少しの瓦のズレやひび割れ程度なら自分で直せるのでは?と思う方も多いでしょう。

高所作業で危険が伴うのはもちろん、間違えて他の部分を破損させてしまうことや、直し方が悪く災害の際の被害の原因を作ってしまうこともありますので、できることならプロに依頼するのが望ましいです。

しかし費用の問題などもありますので、もし自分で何か修理を行う場合には、注意すべきポイントを理解して行うようにしましょう。

4-1 自分で修理する際の方法

●瓦の割れ

①防水テープ

市販されている防水テープを使用して、割れた部分を補強することができます。

貼り付ける面の汚れを綺麗にふき取るのを忘れないようにしましょう。


②コーキング剤で補修する

市販されているコーキング剤を用いて、割れてしまった箇所を埋める方法もあります。

この際も、瓦の汚れは綺麗にふき取ってから行うようにしましょう。

また、瓦と瓦の隙間まで間違って埋めてしまうと、湿気がこもって下地が傷むことがありますので、割れている箇所だけを埋めるようにしましょう。

●瓦のズレ

瓦のズレが見つかった場合は、一つ一つ丁寧に瓦を正しい位置に修正していきましょう。

瓦を取り付ける作業は意外に難しく、割れた瓦をテープ等で補強するよりも、ズレを直すのは難しいかもしれません。

上手く直らない場合は、無理に隙間をコーキング剤で埋めたりはしないことが大切です。(のちに工事をする際に瓦同士の接着を剥がす作業が大変になるため)

4-2 業者に依頼すると何が違う?

業者に依頼すると費用はかかりますが、その分メリットもあります。


  • ・直し方が的確で仕上がりも綺麗
  • ・屋根全体をチェックできて今後のトラブルを未然に防げる
  • ・適切なメンテナンスにより屋根を長持ちさせることにもつながる

などは大きなメリットと言えるでしょう。

DIYや部分修理はあくまで応急処置であり、屋根は時間を追うごとに少しずつ劣化していくものです。

どこかでメンテナンスをする必要はあるということを踏まえた上で、家庭の状況に応じて処置を行うことが大切でしょう。

瓦屋根修理の業者の選び方とまとめ


5-1 瓦屋根修理の業者は?

瓦屋根は、スレート屋根、金属屋根と違ってどの業者でも施工できるというものではありません。

職人の技術によって仕上がりに差が出てしまうことも多いため、信頼できる業者や、瓦専門の業者などに依頼するのも良いでしょう。

また、費用に関しては当記事でご紹介したものはすべて目安になります。

実際には施工部分の面積などによって費用は大きく変わってくるので、一度現地調査をしてみると良いでしょう。

適正価格を判断するためにも、いくつかの業者に相見積もりをするのが大切です。

5-2 悪徳業者に注意!

こんな業者には要注意です!!

・「屋根を無料で点検します!」など急に家にくる業者

・10万円以上の大幅な値引きをしてくる業者

・現地調査が雑な業者

・契約を必要以上に急かす業者

一般の方で、屋根修理に関する知識をたくさん持っている方はそう多くありません。

知識がない人を狙って、必要のない工事で高額な見積もりを出す業者や、不適切な工事を行う業者がいることも事実なので、十分に注意が必要です。

屋根の修理には家の構造やそれぞれの屋根材に関する正しい知識が必要です。

修理が適切でないと問題を悪化させてしまったり、後にトラブルになったりする可能性もあります。

即決せず相見積もりをすること、わからないことは先に質問することなどが、悪い業者に騙されないためにとても大切なので覚えておきましょう!

5-3 まとめ

屋根の修理を依頼する際には、事前に屋根の種類や修理方法などについて理解しておくことがとても大切です。

費用に関してはある程度の相場の感覚を持っておくことは重要ですが、実際に現地調査をしてみなければわからない部分も多いので、一度調査をしていくつかの業者を比較する中で判断するのが良いでしょう。

業者に依頼する際には、1社で依頼するのではなく相見積もりをするのがおすすめです。

いくつかの業者を見て、対応が良く、費用などのバランスも良いところを選びましょう。

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